2025年2月19日水曜日

肢体不自由児の体育の授業づくりの難しさ - 身近な運動用具の活用


肢体不自由児の体育の授業づくりは、多くの課題を抱えています。上肢や下肢の動きにくさに加え、医療的ケアが必要な場合は、さらに身体を動かす上での制限が加わります。車いすから降りること自体が難しい子もいます。

東京都では、特設の「自立活動」の時間があり、自立活動室でPT(理学療法)的な活動が行われています。しかし、これは教科としての体育とは性質が異なります。特別支援学校の学習指導要領をそのまま当てはめても、実際の授業づくりは困難です。

授業づくりを難しくしている要因

 * 身体状況の多様性: 肢体不自由の状態は、一人ひとり異なります。上肢、下肢の動き、麻痺の部位や程度、合併症の有無など、考慮すべき要素が多くあります。

 * 医療的ケアの必要性: 呼吸器系の疾患や、その他医療的ケアが必要な場合、運動の制限や注意点が増えます。

 * 車いすの利用: 車いすを利用している場合、体育の授業でどのような運動や活動ができるか、スペースの確保など、検討が必要です。

 * 学習指導要領とのギャップ: 特別支援学校の学習指導要領は、あくまでもガイドラインであり、個々の児童の実態に合わせた柔軟な対応が求められます。

授業づくりで大切にしたいこと

 * 個別支援計画の作成: 児童一人ひとりの身体状況や目標に合わせた個別の支援計画を作成し、体育の授業の内容を検討します。

 * 環境の整備: 体育館や運動場などの環境を、車いすの利用や医療的ケアが必要な児童にも配慮した安全なものにします。

 * 多様な運動の提供: 児童の身体状況に合わせて、多様な運動や活動を提供し、興味や意欲を引き出す工夫をします。

 * 成功体験の積み重ね: 運動を通して、達成感や自信を得られるよう、難易度を調整したり、励ましたりするなど、配慮します。

運動用具の準備と活用

大きくて重たい器械運動用の器具を準備するのは大変です。準備可能な運動用具を工夫して利用し、効果的な運動ができるようにPDCAサイクルを回して授業を改善していくことが重要です。

簡単な運動用具でも、アイデア次第で肢体不自由児にとって有効な運動が可能です。例えば、フラフープを床に置いてスラローム運動をしたり、ボッチャのランプを使ってボールを転がすと、力がなくても遠くまで転がせます。フープを転がして、それを車いすで追いかける運動も面白いでしょう。

宮城県立拓桃支援学校のサイトでは、様々な体育の授業の様子や、運動の工夫が紹介されています。こちらも参考にしてみてください。

 * 拓桃スポーツ集 - 宮城県立拓桃支援学校:

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