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肢体不自由特別支援学校の教員です。 日々の授業のアイディア気づきなどを綴ってまいります。
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重度の肢体不自由と言語表出に困難を抱える児童が、視線を使った学習で、成果を上げた事例です。
当初、この児童は従来の学習方法ではなかなか成果が出ず、私も試行錯誤の日々でした。そんな中、児童が得意な「視線入力」に注目し、10年以上実践してきた学習法を試してみることにしました。
児童は、提示された文字カードを真剣に見つめ、視線で正しい文字を選びました。その結果、なんと30種類以上の3文字単語を構成することに成功!さらに、濁音や半濁音も習得し、文字カードを読む際に自ら声を出そうとする姿も見られました。
東京都では、特設の「自立活動」の時間があり、自立活動室でPT(理学療法)的な活動が行われています。しかし、これは教科としての体育とは性質が異なります。特別支援学校の学習指導要領をそのまま当てはめても、実際の授業づくりは困難です。
授業づくりを難しくしている要因
* 身体状況の多様性: 肢体不自由の状態は、一人ひとり異なります。上肢、下肢の動き、麻痺の部位や程度、合併症の有無など、考慮すべき要素が多くあります。
* 医療的ケアの必要性: 呼吸器系の疾患や、その他医療的ケアが必要な場合、運動の制限や注意点が増えます。
* 車いすの利用: 車いすを利用している場合、体育の授業でどのような運動や活動ができるか、スペースの確保など、検討が必要です。
* 学習指導要領とのギャップ: 特別支援学校の学習指導要領は、あくまでもガイドラインであり、個々の児童の実態に合わせた柔軟な対応が求められます。
授業づくりで大切にしたいこと
* 個別支援計画の作成: 児童一人ひとりの身体状況や目標に合わせた個別の支援計画を作成し、体育の授業の内容を検討します。
* 環境の整備: 体育館や運動場などの環境を、車いすの利用や医療的ケアが必要な児童にも配慮した安全なものにします。
* 多様な運動の提供: 児童の身体状況に合わせて、多様な運動や活動を提供し、興味や意欲を引き出す工夫をします。
* 成功体験の積み重ね: 運動を通して、達成感や自信を得られるよう、難易度を調整したり、励ましたりするなど、配慮します。
運動用具の準備と活用
大きくて重たい器械運動用の器具を準備するのは大変です。準備可能な運動用具を工夫して利用し、効果的な運動ができるようにPDCAサイクルを回して授業を改善していくことが重要です。
簡単な運動用具でも、アイデア次第で肢体不自由児にとって有効な運動が可能です。例えば、フラフープを床に置いてスラローム運動をしたり、ボッチャのランプを使ってボールを転がすと、力がなくても遠くまで転がせます。フープを転がして、それを車いすで追いかける運動も面白いでしょう。
宮城県立拓桃支援学校のサイトでは、様々な体育の授業の様子や、運動の工夫が紹介されています。こちらも参考にしてみてください。
視線入力での文字学習は、肢体不自由のあるお子さんにとって有効な手段の一つです。しかし、Windowsの視線入力では、関係のない部分に視線が向いてしまい、学習に集中できないという課題がありました。
iPadアプリ「ひらがなわかるもん!!」「ひらがなめっちゃわかるもん!!」とiPadのアクセシビリティ機能を活用することで、この課題を克服し、より効果的な視線入力学習を実現できます。
「ひらがなわかるもん」とiPadアクセシビリティの連携
「ひらがなわかるもん」は、ひらがな学習に特化したiPadアプリです。このアプリとiPadのアクセシビリティ機能を組み合わせることで、視線入力による文字学習が可能になります。
視線入力の設定は簡単で、iPadの設定アプリから「アクセシビリティ」→「視線追跡」をオンにするだけです。
視線入力のキャリブレーションと選択決定時間
視線入力を利用する際、キャリブレーション(視線と画面の対応付け)が毎回必要になる点が課題です。しかし、「ひらがなわかるもん」では、選択決定までの時間をアシスティブタッチの拡張予測変換の時間で変更することができます。
アシスティブタッチの設定は、「設定」アプリの「アクセシビリティ」→「タッチ」→「アシスティブタッチ」でオンにできます。
アクセスガイドで学習に集中
iPadのアクセスガイド機能は、特定のアプリの使用を制限する機能です。これを利用することで、「ひらがなわかるもん」使用中に他のアプリを起動してしまうことを防ぎ、学習に集中することができます。
アクセスガイドは、「設定」アプリの「アクセシビリティ」→「アクセスガイド」でオンにできます。
実際に使用した感想と事例
実際に「ひらがなわかるもん」を視線入力で使用したところ、Windows環境と比較して立ち上げが非常に早く、スムーズに学習を開始できました。
国語の個別学習15分間で実践した事例では、これまでスイッチでの選択学習が難しかった視線入力が得意な児童が、eyemotは使いこなしているものの、文字学習にはあまり活用できていませんでした。「ひらがなわかるもん」を導入したところ、視線でひらがなを選択し、読み上げることで、意欲的に学習に取り組む姿が見られました。
「ひらがなわかるもん」の教材作成機能
「ひらがなわかるもん」と「ひらがなめっちゃわかるもん!!」では、イラストと文字を追加して新たな教材を作成することができます。この機能を利用することで、お子さんの興味や学習状況に合わせて、オリジナルの教材を作成することが可能です。
「ひらがなわかるもん!!」のアプリを全問正解したり、広告再生ボタンを押すと、場合によっては意図しないゲーム広告が表示されることがあります。
まとめ
iPadアプリ「ひらがなわかるもん」とiPadのアクセシビリティ機能を組み合わせることで、視線入力による効果的なひらがな学習が可能です。
Windowsの視線入力では難しかった学習が、iPadと「ひらがなわかるもん」の組み合わせで実現できます。ぜひ一度試してみてください。
参考資料